【一問一答】離島の地域医療推進~ 江田 邦夫 先生【昭和上條医療賞・受賞者】

※本記事は公益財団法人昭和大学医学・医療振興財団の広報誌「TrueHeart」の転載です

江田邦夫先生は当財団の第7回昭和上條医療賞(地域保健医療貢献部門)受賞者です。

長崎県の離島である壱岐で、医師不足、救急医療など多くの課題を抱えていた医療体制の整備のため「21世紀の医療と福祉を考えるフォーラム」を開催されてきました。

また、地域住民と共に長年にわたり中核病院の再建や地域医療のネットワーク構築、学校保健を充実させるなど、壱岐の保健医療レベルを向上するために広く貢献していらっしゃいます。

本記事では、壱岐の地域医療を支える江田先生への地域医療に関するQ&Aをご紹介します。

【昭和上條医療賞】
地域保健医療の実践及び教育の分野において創造的かつ先駆的諸活動を行い、大きな成果を挙げた個人またはグループを顕彰することを目的とします。
顕彰対象:全国の病院、診療所、薬局その他の医療関連機関において、地域保健医療活動を永年に亘って実践、推進して国民の健康増進に幅広く貢献した活動

ご寄付のお願い

個人1口1,000円/法人1口1万円~(税制優遇措置が受けられます。)

次回の公募は2025年です。自薦・他薦をお待ちしております。
https://www.showa-mf.jp/kensyouyoukou/index.html

Q: 壱岐で地域医療活動を行った動機

子どものころから自転車に乗って雨の日も、風の日も島中を往診する父について回っていました。その父の背中を見て、自分もこの道に進もうと思ったのです。

Q: 壱岐での地域医療が抱える課題とは

3つの大きな課題(医療、救急搬送、介護)があります。

1つは本土と島の医療格差(医師不足、専門医不足による医療水準の低下、病院の老朽化)です。平成25年からは10年来不在であった外科医も4名となり、専門外来も充実させることができました。

2つ目の救急搬送については、離島ということもあり、長崎県大村市の国立長崎中央病院への搬送しかなく、要請から搬送までに約2時間を要していました。そこで、県外の福岡県と自衛隊に協力を要請して、ヘリコプターによる搬送が可能となり、現在では壱岐から福岡市内の病院へのドクターヘリも運行するまでになりました。

介護については、過疎化・超高齢化が進む中、介護・福祉施設の整備がほとんどなされていませんでした。地域の協力もあり、現在は老健2か所、特養4か所、グループホーム3か所、障害者支援施設2か所、在宅支援センター1か所、訪問看護ステーション2か所が設置されました。ほとんどの患者さんが自宅で看取られる方が多いのも特徴でしょうか。

Q: 学校保健活動で特に力を入れたことは

保健活動に力を入れたのは、責任者同志で飲むことから始めました。責任者が結束しないと始まらない。上條医療賞のタイトル(「離島壱岐の学校保健活動の躍進は飲みnication」)にも挙げた「飲みnication」ですが、「呑み」とすると、さも吞兵衛みたいに聞こえるので、あえて「飲み」にしたのです(笑)。

Q: 病児病後児保育室「えだまめちゃん」の取り組みについて

小さなお子さんを抱えた親御さんが、子供が病気になり預けることができず、仕事を休むケースが少なくありません。このような状況でお子さんを一時預けできる施設があればよいと考え、市の委託事業としてスタートしました。公務員など転勤される方が多く、年間の利用者は300人を超えていましたが、コロナ禍になり減少しました。

本記事は財団誌「True Heart」No.02(2023年12月)からの転載です。
下記からすべての記事をご覧いただけます

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