医師監修の遊具、グッドデザイン賞最金賞を受賞|医療的ケアが必要なこどもが一緒に遊べる遊具

2024年11月、グッドデザイン賞において遊具「レジリエンスプレイグラウンドシリーズ」が最優秀賞を受賞しました。5700件以上の応募から選ばれたこの遊具は、医療的ケアが必要なこどもも含めて、どんなこも一緒に遊べる場の提供を目指し、専門家の協働によって開発されたものです。

医師の紅谷浩之氏、福井県の遊具メーカー・ジャクエツ、などをはじめ医療とデザインの分野を越えた協働の取組として高く評価されました。

プレスリリース(株式会社ジャクエツ)

開発チームは、「子ども同士がエンパワメントし合える環境づくり」をテーマに掲げ、誰もが主人公となれる遊び場を設計。さまざまな個性を持つ子どもたち、医師、ケアスタッフ、遊具デザイナー、地域のプレーヤーが携わり3つの遊具を開発しました。

気管切開をしている子どもたちと、いわゆる健常と呼ばれる子どもたちが、本当に一緒に同じ遊具で遊べるということを検証している

紅谷医師のコメント

デザインから監修に参加させていただきました。この遊具を考えている時に、子どもたちにとって誰が主人公になるのか、ずっとひたすら考えながら作ってきました。

みんなでディスカッションして考えていたのは、こども同士がエンパワメントし合える環境づくりです。それぞれが伸びよう、つながろうとしている元々持っている力を邪魔せず、そういう環境を作っていけたらいいねというところから始まりました。

東京では新国立競技場の隣の公園に設置されており、いつでも遊びに行くことができます。

「レジリエンスプレイグラウンドシリーズ」は、平等な遊び場を通じて多様な価値観の共有と新たな可能性の創出を提案します。シリーズには、「YURAGI」「KOMORI」「UKIWA」といった遊具が含まれています。これらは、身体のバランス感覚を養いながら、子どもたちが自然に交流し合える仕組みが特徴です。

たとえば、「YURAGI」はトランポリン型遊具で、中心に穴が空いたドーナツ状の形状により、安全に揺れ遊びを楽しめます。また「KOMORI」は視界を狭めた安らぎ空間を備えたブランコで、身体を自由に動かせない子どもでも周囲とのつながりを生む設計がされています。

このプロジェクトを通じて、「遊び」を通じた社会的包摂と新しい価値観の創出が提案されています。興味のある方は、ぜひ実際に遊具を訪れてその魅力を体験してください。

プレスリリース(株式会社ジャクエツ)

グッドデザイン賞とは

1957年に日本の通商産業省(現・経済産業省)によって創設され、現在は公益財団法人日本デザイン振興会が運営する、日本で唯一の総合的デザイン表彰制度です。この賞は、製品や建築、ソフトウェア、サービスなど、人間の生活を取り巻くさまざまな「デザイン」に対して、その質を評価・表彰します。形があるものだけでなく、仕組みやサービスといった無形のものも対象となります。

審査は「人間性(HUMANITY)」「本質(HONESTY)」「創造(INNOVATION)」「魅力(ESTHETICS)」「倫理(ETHICS)」という5つの理念を基に行われ、優れたデザインの発見と社会との共有を通じて新たな創造を促進することを目的としています。受賞したデザインには、信頼の象徴である「Gマーク」が与えられます(1958年にグラフィックデザイナー亀倉雄策氏によってデザイン)。

参考)グッドデザイン賞公式サイト

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